禁書目録にいれられる

この本は第一回禁書目録以来その書名を記載されてきた、ローマ教会にとってはまさに悪魔の書であった。

マキャベリは外交官という職柄、当時分裂しまた外国勢力による侵略により分断されたイタリアを統一するには、 強い君主が必要であると考えるに至った。 彼の政治哲学は非常に理論的で合理的であったが、そこにはあからさまな悪の推奨があり、 陰謀や弱者の排除など、冷酷な行為について書かれた部分が少なくない。

本書の内容は、君主の種類の他、 新しく君主になった者、世襲により君主になった者はどのように行動すべきか、 どうすれば効率よく国民を支配できるかなどが、 下は小さな都市国家から上はローマ帝国のような大帝国まで、 歴史にも学があったマキャベリによって歴史上の数々の君主の実例入りで整理されている。

古来より、表面上は国家を統治する者はなにより道徳的でなければならなかった。 君主たるものは弱者を助け、博愛、清廉潔白であることが理想像だった。 しかしマキャベリにとって、それらは所詮単なる理想でしかなかった。

君主論にはもちろん多くの先見的な部分が多くある。 傭兵の使用をやめ市民軍を創ることや、 戦争が始まってしまったのならとにかく行動を起こし、状況の好転を時間に任せないことなどである。

しかし君主論は当然ながら表面上清廉潔白である君主たちからは忌み嫌われた。 当時世俗の権力を持っていたローマ教皇もその一人であり、禁書目録への記載は当然の成り行きであった。 1559年、マキャベリの全著作物を出版していたアントニオ・ブラード社はその出版を停止した。 彼の君主論が禁書目録の『完全禁書』の項に入ったためである。

しかし君主論はこの世から完全に抹殺されることはついになかった。 この本は、非道徳的ではあるが歴史上どの君主が繁栄し、また国家を滅ぼしたかが非常に簡潔にかかれており、 多くの君主達が影で連年と愛読していたことは想像に難くない。

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